ドラマチック・タンゴ「バンドネオンの匠(たくみ)」

ダンサーDancer

チャンピオン

世界最大のアルゼンチンタンゴの祭典、「タンゴ・ブエノスアイレス」が2016年も開催された。その2週間以上にわたる開催日程で毎年一番最後に行われるのがタンゴダンス世界選手権のステージ部門決勝だ。今年の世界選手権には46カ国から出場者が集まり、ピスタ部門・ステージ部門あわせて536組がその頂点を目指した。両部門ともオープンエントリーとはなってはいるが、ステージ部門の出場者の99%はプロとして活動をしているダンサーばかりで、準決勝、決勝へと勝ち残ることができるのはまさに選ばれし者たちであった。そんなステージダンサーたちを魅了し続けているのが「民音賞」だ。これまでマリアノ・モーレス、オスバルド・プグリエーセなどの大巨匠たちが上がってきた大舞台に自分たちも上がる権利を得ることはダンサー冥利に尽きることは言うまでもない。
今年、そんなステージ部門の頂点に立ったのは、これまでも常に決勝に上がってきていたアグスティーナ&ウーゴだ。ただ優勝したのではない。3人の審査員が満点をつけ、圧倒的な差を2位以降につけた史上最高得点で優勝を決めたのだ。常に決勝に残っていたと書いたが、2011年4位、2012年5位、2014年準優勝と素晴らしい成績を残してきていた。しかし音楽も衣装も作り込んで繰り広げられる彼らのステージはあと一歩のところで伝統を重んじる審査員からは評価を得られずにきていた。しかしあの決勝の夜、最後に踊ったこの2人がステージを降りたとき、誰しもがこの2人が優勝したと確信していた。そんな彼らのダンスが今回の民音タンゴ・シリーズのステージに登場する。
それからもう一つおめでたいニュースがある。これまで長年民音タンゴ・シリーズのダンス部門リーダーをつとめてきたガスパルとそのパートナー、カルラに新しい命が宿ったのだ!残念ながらそんなわけで今回カルラの来日はかなわなくなったが、新たにガスパルのパートナーを務めるのは普段スペインをはじめとしたヨーロッパで活躍するシルビア。ヴォーグ・タンゴや日本にも来たモーラ・ゴドイ・カンパニーの「シャンテクレール」にも出演しており、その実力は折り紙付き。さらにもう一組はビクトリア&リカルド。このペアもフォーエバータンゴ、コラポラシオン・タンゴなど名だたるショーで活躍する超一流のダンサーだ。
3組のダンサーが創り出すステージ空間はこれまでの民音タンゴ・シリーズとはひと味もふた味も違ったものになることは間違いない。是非ご期待いただければと思う。

シルビア&ガスパルSilvia and Gaspar

シルビア&ガスパル ガスパルはタンゴダンス世界選手権の初代チャンピオンとして、毎年民音タンゴ・シリーズのダンサー陣のチーフ・ダンサー、振付として来日しているが、コンビを組んでいるカルラと一昨年正式に結婚、今回はカルラが妊娠したことで、パートナーが交代して来日します。今回のパートナーは、シルビア・フエンテス。ガスパルが「今回は自分たちと同レベルの、凄いダンス・カップルを連れて行きたい」と人選したカップルの女性ダンサーで、以前から、ガスパルの仕事仲間であったが、昨年ヨーロッパで再会。新しいダンスや振付などの意見が一致し、カルラもその実力を高く評価するダンサー。正当なクラシック・バレエの基礎を持つ本格派で、15才で有名なリリアーナ・ベルフィオーレの舞踊団に入り、すぐに全国ツアーに参加。同時にジャズ・ダンスの基礎をアルゼンチン最高レベルの教授に学んだ後、タンゴを正式に始めた。教授陣は、今を代表するミレーナ・プレブス、クラウディオ・ゴンサレス、ミンゴ・プグリエーセなど、錚々たるダンサーたち。タンゴの多様なスタイルを同時に学ぶとすぐに頭角を現し、数々の世界的なタンゴ・ショーに抜擢された。ヴォーグ・タンゴ・ショー(スペイン)、モーラ・ゴドイ・カンパニーの「シャンテクレール」など世界中で活躍。また、ブエノスアイレスの有名タンゲリアのほとんどに出演、カルラ&ガスパルと親交を結ぶ。2015年に「タンゴ・パッション」のソロ・ダンサー兼振付助手として振付家パブロ・ルビオのアシスタントを務め、フランス、ロシア、スイス、ポルトガル、アフリカ、フィンランドなどを巡る。スペイン滞在中、カルラ&ガスパルと再会、今回の民音タンゴ・シリーズへの参加を表明。今回、カルラ&ガスパルのカルラ交代の要請に応え、単に代役でなく、最高のカップルを目指したいと決意している。

ビクトリア&リカルドVictoria and Ricardo

ビクトリア&リカルド リカルド・アストラーダは、7才からアルゼンチン・フォルクローレを始め、その後ジャズ・ダンス、クラシック・バレエ、アラビア舞踊、カリブ・ダンスを習得。タンゴは、13才になってから本格的に取り組んだ。フォルクローレの分野で、最大のコスキン祭にて新人賞を獲得。2003年からタンゴ・ダンサーのプロフェッショナルとして活動を開始した。当初から「フォーエバー・タンゴ」「タンゴ・メトロポリス」「エビータ・ペロン・タンゴ・ショー」等、数々の有名タンゴ・ショーに参加し、世界を駆けてきた。ビクトリア・ガロートは、タンゴに限らず、数々のダンスを正式に習得する女性ダンサー。当初はマルセラ・アビラのスタジオでダンスを始め、ニューヨークのブロードウェイ・ダンス・センターではミシェル・アサフに師事した他、現代舞踊はリモン・インスティトゥート、トゥリーシャ・ブラウン・カンパニーなどで習得。パリのCND(国立ダンス・センタ-)に在籍したこともある。有名な「タンゲーラ」の最初期、チリのサンティアーゴとスペインのマドリードで3か月にわたるショーに出演し成功を収めた。ブエノスアイレスのほとんどのタンゲリアに出演して経験を積み、更に「コルポラシオン・タンゴ」で来日経験もある。2007年から2014年までは「フォーエバー・タンゴ」のメインダンサーとして出演、世界を巡演した。タンゴ以外にもアルゼンチンを代表する振付家オスカル・アライスの現代舞踊作品に出演するなど、オールマイティーなダンサーとして、非常に評価が高い。
このビクトリア、リカルドそれぞれが海外での活動が多いが、ブエノスアイレスでは、いつもカップルを組んでいる。

アグスティーナ&ウーゴAgustina&Hugo

アグスティーナ&ウーゴ アグスティーナ&ウーゴのペアとしてタンゴダンス世界選手権ステージ部門で2011年に5位、2012年に6位に入賞。2014年に準優勝を果たした。2016年、念願の優勝を果たした。

アグスティーナ・ビグノーは、女性ダンサー、ダンス教師。
ブエノスアイレス市演劇芸術学校、ラウル・セラーノ・ブエノスアイレス演劇学校にて演劇を学ぶ。国立芸術大学にて振付を学ぶ。モニカ・ファッチア、フレディ・ロメーロ、アルフレド・グルケル、ソレダー・アルファロ、モニカ・ソウト、リタ・カリデ、ロドルフォ・プランテ、マリエラ・サルセド等にコンテンポラリーダンスとクラシックバレエを師事。カルチャーセンターやブエノスアイレス州の小中学校にてダンス教師を務める。
エスキーナ・オメロ・マンシ、バル・スール、カフェ・トルトーニ、チェ・タンゴ、チキリン・タンゴ、モリエール、マデーロ・タンゴ他、ブエノスアイレスの主要なタンゴハウスに出演。ダンサー、教師としてスイス、イタリア、日本、韓国への海外公演に参加。第3回タンゴ・フュージョン(イタリア、リミニ)、タイム・フォー・タンゴ(スロベニア)等、国際タンゴフェスティバルに参加。2013年にはフアン・パブロ・レドのタンゴショー「タンゴ・プンタ・イ・トラスピエ」にゲストダンサーとして出演。

ウーゴ・マストロロレンソは、男性ダンサー、ダンス教師、振付家。
日本、韓国、中国、カナダ、チリ、ボリビア、ブラジル、コロンビア、U.S.A、ドイツ、オーストリア、イタリア、フランス、スイス、ラトビア、スペイン等でショーやワークショップを行う。国立セルバンテス劇場、ロラ・メンブリベス劇場、プレシデンテ・アルベアル劇場、ヘネラル・サン・マルティン劇場、ルナパーク、アストラル、ラ・プラザ、パルケ・センテナリオ、ソシエダー・ルラル・アルヘンティーナ他、ブエノスアイレスで最も重要な劇場に出演する。アルゼンチン国内の大会でダンサー、振付家として50以上の賞を受賞。パンアメリカン競技会で3度の優勝。
執筆業では、処女作「En Busca del metodo que nunca fue(これまでになかったメソッド探求)」がスペイン語、英語、日本語、ドイツ語で出版され、アルゼンチンとヨーロッパの大学の舞踊の教本として使用される。最新作は「Tango Danza El Origen de la Especie(タンゴダンス 種の起源)」で、フランクフルトやブエノスアイレスの国際ブックフェアに出展した。

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