ドラマチック・タンゴ「タンゴ・ルネサンス」 セステート・メリディオナル

セステート・メリディオナルが初来日公演!

オスバルド・プグリエーセがこの世を去ってから20年の月日が経った。しかしタンゴに対する情熱と愛情は脈々とその継承者たちによって引き継がれている。直系というと2010年のビクトル・ラバジェン楽団や2011年のコロールタンゴがそれにあたるわけだが、そのラバジェンとともに来日したのが今回来日するセステート・メリディオナルのリーダー、パブロ・エスティガリビアだ。結成は2011年とまだ月日は浅いものの、全てのメンバーが超有名楽団での演奏経験を持つ意気軒昂な顔ぶれとなっている。すでに世界最大のタンゴ・フェスティバル「タンゴ・ブエノスアイレス」にも出演しており、今ブエノスアイレスで最も注目されている楽団だ。さらに2015年、アルゼンチンのレコード大賞にあたるカルロス・ガルデル賞で、ピアノ・ソロでリリースしたパブロ・エスティガリビアのアルバム「Tangos para Piano」が見事に受賞を決め、まさに乗りに乗っている彼の演奏は必聴だ。タンゴ新黄金時代を担う新たなリーダーがこのステージで最高の演奏をお届けする。

楽団メンバー・プロフィル

パブロ・エスティガリビア Pablo Estigarribia

リーダー、ピアニスト

8歳の時にブエノスアイレスに居を移すとともにカルロス・ロペス・ブチャルド国立音楽学校に入学し、ピアノの勉強をはじめる。国立ラジオホールやコロン劇場などにおいてソロ演奏活動を数多く経験し、ブエノスアイレス市政府主催の「サブ・18(18歳以下)」コンクールにおいて、室内楽のトリオで入賞する。ソロ活動においては、チャコ州立シンフォニーオーケストラや国立ラジオ・オーケストラと共演し、ブエノスアイレス大学内で開かれた国会楽団と共演したコンサートでは、アルゼンチンの有名テレビ局「Aチャンネル」でその様子が放送された。2007年には、音楽フェスティバルが主催する青少年コンクールで堂々の一位を獲得。また、ヨルダン国際フェスティバルにおいて入賞し、エミリオ・バルカルセが最後に指揮をつとめた2004年度のオルケスタ・エスクエラ・デ・タンゴのメンバーとして、イタリアでのツアーにも参加した。その後2008年には、リサンドロ・アドロベル・キンテートとメキシコでのツアーに参加する。2010年には、ビクトル・ラバジェン・キンテートのメンバーとして来日し、民音タンゴシリーズにおいて約40回の公演を日本全国で行った。2011年には、タンゴ・カンパニー「タンゴ・パシオン」のメンバーとなり、ヨーロッパとロシアを4ヶ月半の間ツアーし、90回以上の公演を行った。
また参加作品として、バンドネオン奏者フェデリコ・ペレイロのアルバム『レフェレンシア』にラウル・ガレーロ、ネストル・マルコーニ、ビクトル・ラバジェンらと共に参加するとともに、ビクトル・ラバジェン楽団、さらにはラバジェン、カバルコスとのトリオの作品にも参加した。

現在は、セステート・メリディオナルの指揮及びピアニスト、また巨匠ビクトル・ラバジェンのピアニストとして精力的に活動中。そして2014年に発表した初のソロアルバム、『タンゴス・パラ・ピアノ』はアルゼンチンのレコード大賞にあたるガルデル賞を獲得し、今アルゼンチンで最も勢いのあるピアニストである。

マルコ・アントニオ・フェルナンデス Marco Antonio Fernandez

第1バンドネオン

2005年にグランレックスシアターのコンサートにてプロデビュー。著名なタンゴハウスマデーロ・タンゴに2006年より現在まで出演し続けている。その傍ら、エミリオ・バルカルセのオルケスタ・エスクエラ・デ・タンゴに所属し、多くの優れたタンゴミュージシャンたちのもとで経験を積む。2007年には、タンゴの新世代を代表する楽団のひとつ、バレ・タンゴの第1バンドネオン奏者としてツアーに参加。さらに2008年に行われた民音タンゴ・シリーズ<39>タンゴダンス・プレミアムにフェルナンド・マルサン楽団のメンバーとして来日した。また同年、アルゼンチン・バレエ界の旗手、フリオ・ボッカの引退ツアーに参加しヨーロッパを周遊する。2009年にはタンゴカンパニー「オタンゴ」のバンドネオン奏者としてヨーロッパ・ツアーを行い、同年、「オタンゴ」はフランスで最もパリジャンに人気のあったショーのトップ10に選ばれた。さらにオルケスタ・グランタンゴによる「ブエノスアイレスのマリア」に出演。2010年よりオルケスタ・エル・アランケのバンドネオンを務めブラジル、パラグアイ、ベルギー、オランダなど世界各国で演奏を披露。2011年より、若手実力派の集まるセステート・メリディオナルで第1バンドネオンを担当している。

サンティアゴ・ポリメニ Santiago Polimeni

第2バンドネオン

ルベン・スロニムスキー、マルコス・マドリガルにバンドネオンを師事するほか、ニコラス・ゲルシュベルクに作編曲を、マウリシオ・ウェイントラウブに楽団指揮を学ぶ。

フリアン・ペラルタ率いるプラサ・デフェンサ・カルチャーセンター・オーケストラでの活動を皮切りに、エミリオ・バルカルセ率いるオルケスタ・エスクエラ・デ・タンゴではアティリオ・スタンポーネ、ネストル・マルコーニ、ワルテル・リオス、カルロス・パソ、そしてビクトル・ラバジェンなどのタンゴの一流アーティストと共演する。さらにバレ・タンゴのメンバーとしてブエノスアイレス随一のタンゴハウス、マデーロ・タンゴへの出演。そして2005年にはタンゴ・ポル・ドス・カンパニーに所属し、香港、マカオなどのアジアツアー、イタリア、スイス、イギリスなどのヨーロッパツアーで世界の舞台を渡り歩いてきた。さらにエリカ・ディサルボ楽団に所属し南米ツアー、タンゴ・ブエノスアイレス・カンパニーに所属しさらに全米ツアー、コスタリカ、ホンジュラス、メキシコ、オーストラリアなどまさに世界中で活躍しているバンドネオン奏者。2013年の民音タンゴ・シリーズ<44>『新黄金時代の巨匠たち』には、オルケスタ・ニコラス・レデスマのメンバーとして来日し、好評を博した。

セサル・ラゴ Cesar Rago

第1バイオリン

2003年にプロデビューしてから、近年は常にトップクラスの楽団にその名前を連ねるセサル・ラゴはノルベルト・ガルシアに師事。さらにバイオリンをルイス・ロジェーロに学んだ。ヘネラル・サンマルティン交響楽団で第1バイオリンを務め、ブエノスアイレス随一のタンゴハウス、セニョール・タンゴ、ビエホ・アルマセンなどで活躍する。さらにタンゴ・ブエノスアイレス・カンパニーに所属し、3ヶ月の全米ツアーに参加。さらにセサル・サルガン率いるグラン・オルケスタ・タンゴ・ビアの一員としてローマで行われたタンゴ・フェスティバルに出演した。2009年にはオルケスタ・ニコラス・レデスマのバイオリンとして公演に参加。2010年にはあのグレコ兄弟率いるオクテート・ビセベルサのメンバーとなった。同年国立フアン・デ・ディオス・フィリベルト記念アルゼンチン音楽オーケストラのツアーに参加。またアルゼンチン国立交響楽団のメンバーとしてアルゼンチン北東部ツアーに参加。2011年初頭タンゴ・ブエノスアイレス・カンパニーでもう一度3ヶ月間の全米ツアーに参加。セサル・サルガン楽団の一員としてブエノスアイレスのタンゴ・フェスティバルやコロン劇場で行われたオラシオ・サルガンに捧げたコンサートに出演。2011年、セステート・メリディオナルの第1バイオリンを務めることとなった。またバホ・フォンド、クアシモド・トリオ、エルビーノ・バルダロ・ストリングス・オーケストラのレコーディングに参加するなど、その活躍は本当に幅広く、国内外で活躍する大人気バイオリニストとなっている。

また日本への来日経験も豊富で、いずれも民音タンゴ・シリーズの「ファビオ・ハーゲル・セステート」(2006年)、「オルケスタ・ニコラス・レデスマ」(2013年)「グレコス・タンゴ・オルケスタ」(2014年)のメンバーとして3度の来日を果たしている。

ラミーロ・ミランダ Ramiro Miranda

第2バイオリン

国立マヌエル・デ・ファジャ音楽学院と国立ラヌース大学にてバイオリンを学ぶ。楽理と作曲をマリア・デル・カルメン・アギラール、ダニエル・モンテス、マルセロ・カツに師事、バイオリンをルイス・ロッジエロに師事する。
コロン劇場室内楽団(2000年~2005年)、オルケスタ・エスクエラ・デ・タンゴ(2001年)、国立ラヌース大楽室内楽団(2004~2006年)、アルゼンチン公共放送交響楽団(2005~2011年)、オルケスタ・ティピカ・ロドルフォ・メデーロス(2012~2015年)など、数々の楽団に在籍。さらに、エスキーナ・カルロス・ガルデル、タンゴ・ポルテーニョなどブエノスアイレスの名だたるタンゴハウスでバイオリニスタを努めている。

世界最大のタンゴの祭典、「タンゴ・ブエノスアイレス」には2009年から複数回出演、南アメリカ・クラシック音楽フェスティバル、ウシュアイア・クラシック音楽フェスティバルなどクラシックの音楽フェスティバルにも参加している。オルケスタ・ミステリオーサ・ブエノスアイレス(2015年)など、録音参加も多い。2001年以降、様々なタンゴの楽団と共にオーストリア、ドイツ、スペイン、オーストラリア、ニュージーランド、中国、南アフリカ共和国、アンゴラ、コロンビア、ウルグアイ、ブラジル、ペルー、ボリビア、エクアドルへのツアーに参加するなど国際的活躍をしている。

ニコラス・サラリアス Nicolas Zacarias

コントラバス

コントラバス奏者としてタンゴ界にデビューしてから、2005年にブエノスアイレス随一のタンゴハウス、マデーロ・タンゴに出演。同時にバレ・タンゴのメンバーとしてその後7年間在籍し、世界各地で公演、レコーディングなどに参加。また2007年からはタンゴ・ポル・ドス・カンパニーにも所属し、アメリカ合衆国をはじめとして南北米ツアーや、さらにはイタリア、イギリス、オランダなどへのヨーロッパツアーにも参加し世界で活躍している。2011年にパブロ・エスティガリビアがこのセステート・メリディオナルを結成した際に、楽団への参加を決意。タンゴ・ブエノスアイレスをはじめとする一大フェスティバルや、コンサートへ出演を果たしている。さらに2015年からはEMPA(アベジャネーダポピュラーミュージック音楽学校)でコントラバスの教授を務めており、後進の育成にも努めている。

歌手

エステバン・リエラ Esteban Riera

ブエノスアイレス出身。国内の主要3大コンクールのひとつ、国立コスキン・フォルクローレ・フェスティバルの優勝者。これまでにソロアルバムを3枚録音、巨匠ラウル・ガレーロのセステート楽団の歌手、アンドレス・リネツキー率いる「セステート・バレタンゴ」の専属歌手として3年間活躍し、レコーディングやツアーを行う。さらにその後もブエノスアイレス市立タンゴ・オルケスタ、フアン・デ・ディオス・フィリベルト楽団の専属歌手をつとめ、あのアメリカン・バレエ・シアターのプリンシパルを務めたバレエダンサー、フリオ・ボカの最終公演の歌手の座を射止め、各国を周遊する。
これまでにラウル・ラビエ、ネストル・ファビアン、ダニエル・コルテス、カルロス・ガルシア、ネストル・マルコーニ、オスバルド・ピロー、アティリオ・スタンポーネ、オスカル・デ・エリア、ビルヒニア・ルーケなどタンゴの一時代を築いた巨匠たちとの共演経験を持つ。

現在はブエノスアイレスを代表するカフェ・デ・ロス・アンへリートスと最高級ホテル・ファエナで行われるタンゴショーに出演している。アルゼンチン以外にもラテンアメリカ各国、アジア圏、ヨーロッパなど世界中を駆け回っており、日本にも2度来日している。